去る2024年4月25日、ついに発売されたXREAL Hubをちょっと弄ってみたところこういう結論に達しましたよと言うお話です。
Nintendo Switchと組み合わせて使う場合は安心して買って良し!
追記:DC-DCコンバータ内蔵で15V給電
調査してたら面白いことが分かったので共有します。
はじめに
XREAL AirやRokid Maxなど、USB Type-C接続のディスプレイであるところの電気メガネはDisplayPortの映像と電力の供給を1本のUSB Type-Cケーブルで賄っており、映像の出力元として使われるスマートフォンには一般的にUSB Type-C端子は1個しかなく、「電気メガネを使用しているとスマートフォンの充電ができない問題」が古くから存在しておりました。
当ブログではそれを解決しようと電気メガネ側に別途電力を供給してスマートフォン側の負担を減らしたり、Thunderbolt 4 Hubを使用したりなんやかんややってました。
最近は「スマートフォンを充電しながら電気メガネを使えるアダプター」が各社から発売されていて比較的容易に実現できるようになってきております。
今回電気メガネ業界で国内最大手と思われるXREALから「スマートフォンを充電しながら電気メガネを使えるアダプター」が発売されたので入手性が高くなり喜ばしい限りです。
今回は主にNintendo Switchとの接続について見ていこうと思います。
さて、細かい内容について見ていきましょう。
XREAL Hubとは
メーカー販売価格5,980円、「スマートフォンを充電しながら電気メガネを使えるアダプター」です。公称45Wの急速充電に対応しているとなっています(後述)。
Rokid HubやVITURE OneのV1222など他社製品同様にNintendo Switchと接続することでドックとして認識されTVモードで遊ぶことができる機能があります。
XREAL Hubならではの機能としてXREAL AirやAir2シリーズを自動的にDisplayPort音声モードに切り替えてくれるようで接続するだけで音が鳴りました。音量調節は電気メガネ側(XREAL Air、Air2シリーズでは明るさマイナスボタン長押しでモード切り替え)で行う必要があります。
5.0-15.0V 3.0A Maxとあります。これが15V3Aで「45Wの急速充電」という根拠になっていると思われますが…(後述)
コネクタはメガネマークに電気メガネ、雷マークに充電器を繋ぐという簡単な話になってます。細かいことですが、コネクタのある面にマークがあるのは分かりやすくていいです。
Nintendo Switchとの接続ではなんらかの電源に必ず接続しないとTVモードにならないんですが、スマートフォンなどとの接続時には電源が無くても動くは動きます。当然電源を接続しないと「スマートフォンを充電しながら電気メガネを使える」とはいきませんが、確認した限りGalaxy S20 5GでAndroid版Nebulaも動きますしSamsung DeXも動作しました。充電器と接続、もしくは切断するといったん外部ディスプレイが切断されて再接続されるのはご承知おきください。
パッケージはVITURE OneのV1222などに酷似してますが、細かいことは気にしてはいけません。
XREAL Air/Air2シリーズはファームウェアアップデートが必要
特にNreal時代のAirはファームウェアアップデートしないとDisplayPort音声モードに対応しないので、Android/Mac/PC版NebulaやXREAL Beam、公式サイトのファームウェアアップデートページからファームウェアを更新する必要があります。
Nreal(現XREAL) Airの場合は2023年5月に更新された「07.1.02.266_20230525」以降のバージョンでないといけません。それ以降に発売されたXREAL Air2シリーズはそのままでも動きそうな気はしますが、念のため最新版にしておきましょう。
Nreal(現XREAL) Airとの接続
メーカー公認の正しい接続になります。先述の通りNreal(現XREAL) Air、Air2シリーズはNintendo Switchとそのまま接続した場合にUSBオーディオとして認識されないため接続後ボタン操作でDisplayPort音声モードに切り替えないといけない問題がありますが、XREAL Hubは流石純正品だけあってどうにかしてくれてるようです。
音量調節はNintendo Switch本体ではできないので明るさマイナスボタンを長押しして音量調節モードに切り替える必要があります。
Nreal(現XREAL) Lightの場合
メーカーが「非対応」としているNreal(現XREAL) Lightですが、実際に接続してみたところ認識までやや時間がかかったように感じましたが無事表示され、音声もUSBオーディオで再生されました。
音量調節はNintendo Switch本体のボリュームボタンで行います。
Nintendo Switchとの組み合わせでは現状問題なく動作するようですが、メーカーは公式に非対応を謳ってます。理由として考えられるのはNreal(現XREAL) LightがDisplayPort音声モードに対応していないのと、組み込まれているRGBカメラがUSB 3.x接続になっているのでUSBデータ通信が2.0になっていると思われるXREAL HubではAndroid版NebulaでARモードの動作が安定しないなどの問題があるため「非対応」としているのだと思われます。
念のため確認でGalaxy S20 5GとNreal(現XREAL) Lightを接続してARモードを動かしてみたんですが、予想外にも普通に起動してそれなりに6DoFで動いてしまいました。RGBカメラはやはり認識されないようなので空間への固定がうまくいかない角度がありましたがいや本当に予想外にも動いたなあ…
メーカーとしては公式対応とはいかないでしょうが、それでもそれなりに動いたので気になる方は試してください。
他社電気メガネの場合
本来当然非対応でもしょうがない他メーカーの電気メガネですが、確認したところRokid MaxとVITURE Oneメガネでは問題なく動作しました。
当該機種はどちらもUSBオーディオではなくDisplayPort音声に対応しているため音声も問題なく再生されます。
Nintendo Switchとの組み合わせにおいて現状問題なく動作したと言ってよろしいでしょう。
なおRokid Airには音量調節をする機能が無いためフルボリュームで再生されることになると思われますので別途イヤホンを用意するなどしてご対応ください。
45W急速充電?
さて、メーカー公称45Wの急速充電についてですがPOWER-Z KM003CでXREAL Hubから機器側へのPower Delivery対応状況を確認したところPD 3.0 40Wと判定されました。5V3A、9V3A、15V2.68A対応という通知です。15V×2.68A=40.2Wですね。
一方でXREAL Hubと充電器の通信を見ると、XREAL Hub側から充電器に15V3AのRequestが出ていることが分かります。
つまり、XREAL Hubは充電器に15V3A=45W要求して、機器側には15V2.68A=40.2Wで通知をしているため機器を45Wで充電することはできません。
それにしても2.68Aという珍妙な数値はいったい…。Hub内部や電気メガネ側で最大5Wぐらい消費するという使用分を考慮しての通知なら5Vや9Vでも減らして通知してきてしかるべきな気がしますね。
以下はお馴染みのRokid Hubです。各0.4A分はHub内部や電気メガネで使用する分を2~6W差っ引いて通知してきていると考えると理解しやすいかもしれません。
逆に20V5Aそのまま機器側に通知してくるVITURE OneのV1222はいかがなものかという話になりますが、20V5A要求しても100Wガッツリ使う機器はあんまりないので問題になりにくいかも知れません。たぶん。
ご覧の通り20Vは5Aを素通しさせるVITURE OneのV1222ですが、やはりNintendo Switchを意識してか15Vだけ2.6Aになってます。ちなみにXREAL HubやRokid Hubとは違いVITURE OneのV1222は正しく15V2.6A以上の充電器を接続しないとNintendo SwitchがTVモードになりません。挙動としては正しいんですが、他社がズルしてるのでちょっとデメリットっぽくなってしまって気の毒です…
色々試しているうちに判明したXREAL Hubならではの特徴なんですが、こいつ機器側から9V要求されても充電器から15Vで受け取ったのを変圧して機器側に9Vで渡してる…
元々電気メガネは5Vなので変圧はしてるんですが、なんでこんなややこしそうな事を…なんか都合がいいことがあるんでしょうかね?
なお、アマゾンジャパン合同会社の販売ページの記述では「5A E-makerケーブルと45W PD急速充電器が必要です。」(原文ママ)との記載がありますが、3A以下なので通常eMarkerは必要ありません。
おしまいに
発表当初にお知らせした通り、通常の用途ではVITURE OneのV1222を買っといた方が安牌なんですが、40Wを越える高速充電が必要ないNintendo Switchとの組み合わせにおいてはXREAL Hubもオススメできるんじゃないかなと思いました。
さらに再三から申しておりますようにXREAL Air/Air2シリーズは音声がUSBオーディオなのが標準となっておりますので、Rokid HubやVITURE OneのV1222などではDisplayPort音声モードへの切り替えの手間が必要になってしまうので、Nintendo Switchとの組み合わせを主軸にされる方はXREAL Hubがオススメになります。
価格面でも主要三社で最安値ですし、さっぱり売ってないRokid Hubやちょいちょい品切れになるVITURE OneのV1222と違ってXREAL Hubはおそらく潤沢な在庫が期待できるので欲しくなったらすぐ買えるという安心感が強いです。
現場からは以上です。