
XREAL One ProのEDIDが気に入らないのでCopilotさんにEDIDを食わせてまとめてもらった情報を加筆修正してお届けします。
はじめに
XREAL One Proは、USB Type-C(DisplayPort Alt Mode)接続専用のARグラス型ディスプレイです。
OSDメニューで選べるモードによってEDID(Extended Display Identification Data)が切り替わる仕様を持ち、表示解像度やリフレッシュレート、色空間などの情報を出力側に通知します。
本記事では、EDIDの構造と、仮想画面サイズが出力側に与える影響、さらにEDIDに記載された色空間対応情報の信頼性について問題提起を行います。
なお、検証したファームウェアは15.1.02.601_20250804です。今後のバージョンでは変更されている可能性もありますのであしからず。
EDIDとは?
EDIDは、ディスプレイがPCやスマートフォンなどの出力機器に自身の仕様を伝えるためのデータです。
含まれる情報には以下があります:
- 解像度とリフレッシュレート
- 色空間(RGB, YCbCrなど)
- 物理サイズ(cm単位)
- 音声対応(HDMI/DP経由)
- モニター名や製造情報
OSやGPUはこの情報をもとに、UIスケーリングや表示モードを自動調整します。
XREAL One ProのEDIDモード一覧
想定モード/用途 | サポート解像度 (W×H) | 対応リフレッシュレート (Hz) | アスペクト比(解像度) | 最大画像サイズ (cm) | 対角サイズ(インチ) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2D 基本 | 1920×1080 | 60 / 90(標準) / 120 | 16:9 | 226×141 (≈1.60:1 ≒16:10) | ≈104.9″ | 拡張ブロックなし |
2D (DP/HDMI拡張) | 1920×1080 | 60 / 90(標準) / 120 | 16:9 | 226×141 (≈1.60:1 ≒16:10) | ≈104.9″ | CEA拡張 1 あり (オーディオ) |
3D Half-SBS | 1920×1080 | 60 / 90(標準) / 120 | 16:9 | 226×141 (≈1.60:1 ≒16:10) | ≈104.9″ | タイミングは2Dと同一 |
3D Full-SBS (横2面) | 3840×1080 | 60 | 32:9 | 226×141 (≈1.60:1 ≒16:10) | ≈104.9″ | 1つのDTのみ |
32:9 | 3840×1080 | 60 | 32:9 | 226×141 (≈1.60:1 ≒16:10) | ≈104.9″ | FSBSと同一内容 |
21:9 | 2560×1080 | 60 | 21.33:9 | 248×105 (≈2.36:1 ≒64:27/21:9) | ≈106.1″ | 最大画像サイズのみ異なる |
最大画像サイズの不整合
21:9モード以外は全て226cm x 141cmで16:10になっています。2Dモードのサポート解像度は16:9なので不整合が発生しています。
また、3Dモードやそれを元にした32:9モードも全て2Dモードと同一になっています。さらに、21:9モードはおそらく設定できる最大値が255cmのため縦のサイズが減っており実際の見え方と相違があります。
UIスケーリングに与える影響
EDIDに記載された物理サイズが非常に大きいため、OSは「巨大ディスプレイ」と誤認識します。
例えば、226cm × 141cmは約105インチディスプレイ相当であり、DPI(dots per inch)が低く計算される結果、UIが極端に小さく表示されることがあります。
実際の使用環境との乖離
XREAL One Proは「10m先に428インチの仮想スクリーン」として見えることを売りにしていますが、現実的にはそんな距離で使うことはありません。
空間スクリーンとしては1m前後の距離で使うことが多く、428インチ相当は過剰です。
提案:現実的な仮想スクリーンサイズ
✅ 1m先に42.8インチ相当のサイズにする
- 428インチを10mで見るなら、距離を1/10にすればサイズも1/10で十分。
- 42.8インチは一般的なPCモニターと同等で、UIスケーリングにも適したサイズ。
- EDIDの物理サイズを約94cm × 53cmに設定すれば、OS側の誤認識を防ぎ、より自然なUI表示が可能になります。
DP音声モードのEDID通知と実機対応の不一致:色空間編
DP音声対応モードのEDIDには「YCbCr 4:2:2対応」と記載されていますが、実際には対応していない可能性があります。
この通知により、OSやGPUが誤って4:2:2モードを選択すると、表示不良や色化けが発生するリスクがあります。
DP音声モードでVITURE Proモバイルドックに接続した際に全体の色がおかしくなる原因ではないかと考えられます。
DP音声モードのEDIDに含まれるHDMI互換情報とCEC非対応の問題
DP音声モードのEDIDには、以下のようなHDMI互換情報が含まれています:
Vendor-specific data block, OUI 000C03 (HDMI 1.4b) Source physical address 1.0.0.0
これは、HDMI 1.4bに準拠したベンダー固有データブロック(VSDB)であり、出力側(PCやスマートフォン)に対して「このディスプレイはHDMI互換機能を持っている」と通知する役割を果たします。
✅ OUI 000C03とは?
- HDMI Licensing Administratorが割り当てた識別子で、HDMI 1.4b対応機器を示します。
- EDIDにこのOUIが含まれていると、GPUやOSはHDMIディスプレイとして認識しやすくなります。
❌ しかし、CECには非対応
- CEC(Consumer Electronics Control)は、HDMIの機器間制御機能(リモコン連動、電源連動など)ですが、
- DisplayPort Alt ModeではCEC信号線が存在せず、CECは物理的にも論理的にも非対応です。
- つまり、EDIDに「Source physical address 1.0.0.0」と記載されていても、CECは一切機能しません。
⚠️ なぜ含まれているのか?
- チップメーカーが提供するサンプルデータを引用して使用している可能性があります。
- しかし、XREAL One ProはDisplayPort Alt Mode専用であり、HDMI入力を受け付けないため、この情報は誤認識の原因になる可能性があります。
🧠 まとめ
項目 | 状況 |
---|---|
HDMI互換OUI(000C03) | EDIDに含まれる(HDMI 1.4b) |
CEC物理アドレス | 1.0.0.0 として通知 |
実際のCEC対応 | ❌ 非対応(DP Alt Modeでは不可) |
問題点 | 出力側がCEC対応と誤認識する可能性あり |
このように、EDIDに含まれるHDMI互換情報が実機の仕様と一致していないことは、互換性やユーザー体験に影響を与える可能性があります。
まとめと提言
- XREAL One ProのEDIDはモードごとに切り替わるが、物理サイズや色空間通知に不整合がある。
- 出力側が誤認識することで、UIスケーリングや色空間選択に支障が出る可能性がある。
- より現実的な仮想スクリーンサイズ(例:1m先に42.8インチ)をEDIDに反映することで、ユーザー体験が向上する。
- EDIDには、実機の仕様と一致した情報を記載することが重要であり、誤通知は互換性問題の原因となる。
おしまいに
EDIDがモードによってちぐはぐで統一感がなく、なんにせよサイズ通知がやたらでかいのでMotorola Edge 50 Proのデスクトップモードなどで実際に不都合があるので現実的な数字にして貰いたいなあと思います。
DP音声モードではおそらくXREAL Oneシリーズでは対応していないYCbCr 4:2:2に対応していると言ったりCECに対応していると嘘通知をするのは感心しないので総点検したほうが良いのでは?
あと、3Dモードに関しては、HDMIには規定があるんですがDisplayPortには規定がないので現状のメニュー切り替え方式もしょうがないかーって理解になりました。
自動で3Dモードに切り替えられSBS以外も自動変換してBlu-ray 3Dにも対応できるNreal Adapterの後継機が欲しいですね!その際はバッテリーは内蔵しないでUSB Type-Cの給電ポートにしてね!
Copilotさんちょいちょい嘘を挟んでくるのでなるべく取り除いたつもりですが見逃しがあるかもしれません。途中で「最初から自分で書いた方がラクなのでは??」と思ったりもしましたがモード一覧のまとめを表にしてくれるのは便利でしたね。
現場からは以上です。