Mac版から遅れること数ヶ月、2023年4月26日にWindows版のベータテストが始りました。初版なので今後どうなるかわかりませんが使用するためのハードルがやや高く、通常のWindows PC特にデスクトップPCではほぼ無いだろうUSB Type-C DP Alt出力が要件になっています。
Nreal Airとは如何なるデバイスであるかと鑑みるに、つまるところ映像出力とUSB接続のセンサーが認識できれば良いのだろうということで色々試したところ想定しているであろう挙動をすることができたがなかなか難しい話もありましたよという話です。
2023/05/03現在のバージョン0.1.0というベータテスト始ったばかりの情報を元にしているので、今後加筆修正があると思いますのでご了承ください。
USB Type-C DP Alt出力が無い場合でも使いたい
本題。昨今のデスクトップPCのGPU事情に鑑みるに強力無比なNVIDIA GeForce RTX4090などでもUSB Type-C DP Alt出力には対応しておらず、一部特殊な「マザーボードにDisplayPort“入力”をしてThunderbolt出力をする」機器などもありますが、一般的ではありません。
ノートPCにはUSB Type-C DP Alt出力が搭載されている例が増えておりますが、うちのVictus by HP 16-d1000がNreal AirだけUSB Type-C接続で表示されないので困ったなあ…
つまるところ要件を満たし満足なパフォーマンスを発揮できるであろうWindows PCは希有であると言わざるを得ないわけです。
やはりHDMIかDisplayPortを変換して使えないとWindows版は厳しいで!!ってことでいつものように手持ちの変換アダプターを駆使してどうにかしましょう。
3Dモード(72fps)対応が必須
先日ボタンでの切り替えに対応した3Dモードですが、USB Type-C DP Alt出力が無いPCで使うためには特定の変換アダプターを使用する必要がありました。
実はこの3Dモードは60fpsでして、今回のNebula for Windows 0.1.0ではさらに72fpsへの対応している必要があります。
確認したところUGREEN CM323やMSL FORCE hd2usbcは色がおかしくなってしまったので、HDMIからの変換では手持ちで動いたのはGOOVIS HC2.0とWJESOG HDMI to USB C Cableだけでした。
追記(2023/05/10):Fairikabe HDMI to USB C Cableも動作しました。コネクタ形状などは若干違いますが、基本的にはWJESOGの商品と同じモノと考えていいと思います。
参考:Nebula for Windows 0.1.0使用時のEDID
左:ボタン操作による3Dモード、右:Nebula for Windows 0.1.0による3Dモード
ああそうそう、Nebula for Windows 0.1.0にはNreal Air用ファームウェア07.1.01.254_20230423が同梱されてまして、今回それを使用しています。
1秒あたりのフレーム数が増えているので、そのおかげで動作がなめらかになっていたりするんですが負荷も上がるので今後はエコモードとかそれっぽいことを言って60fpsでも動作する設定などあるといいんじゃないかなあと思います。
実際に使えた変換アダプター
GOOVIS HC2.0
親の顔より見たと言っても差し支えないぐらい毎度毎度出てくるHDMIをUSB Type-Cに変換するアダプターであるところのGOOVIS HC2.0です。
電源をPCのUSBから取得することで、Nreal AirとPCがUSB 2.0で接続されます。
WJESOG HDMI to USB C Cable
Amazon.comから輸入した変換ケーブルです。WJESOG。読み方わかりません。ケーブルなのでNreal Airに直接接続できるのが強みですがそれなりに太いケーブルなので中継用のメスメスコネクタを使ってNreal Air付属ケーブルを足した方が良いです。
これもUSBをPCに接続することでNreal AirとUSB 2.0で接続されます。
DisplayPort版もあるので売り切れや値上がり前に買っておきましょう。
Fairikabe HDMI to USB C Cable
AliExpressで注文した変換ケーブルです。アマゾンジャパン合同会社にもいちおう存在するのでリンクは載せてますが、執筆時点で1,634円(送料無料)だったので価格的にAliExpressで購入した方がかなり安かったです。タイミングが良かったのか5月4日に注文して5月10日到着しました。
使い方は前項のWJESOGの変換ケーブルと同じです。USBをPCと繋げるのを忘れずに。
WACOM Link Plus
これも毎度毎度出てきますが、今回はHDMIじゃなくてDisplayPort(mini DisplayPort)接続で使用します。給電(USB Type-C)とデータ通信(microUSB)が別なので配線がややこしいんですが動きます。
必ずmicroUSBをNebula for Windowsを動かすPCと接続する必要があります。
元々DP AltがDisplayPort由来なので、HDMI変換よりもDisplayPort変換の方が動く確率が高そうな予感があるので他にも動く変換アダプターの類いはあると思います。
変換したので動かしてみよう
3画面モードとかよりもこっちの方が動きが良かったので。
1がメインのディスプレイ、2がNreal Air(3Dモードで横長)、3がNebula for Windowsが出してる仮想ディスプレイ。
スクリーンショットを撮るとこんな感じになります。3の仮想ディスプレイを2のNreal AirにSBSで表示してて、それが頭の動きに追従するので巨大ディスプレイを見回す体験ができます。
Nreal Airのような光学シースルー型HMDはFoVが狭いので、VR的な期待をするととても画面が小さく切り取られて見えてしょんぼりしがちなんですが、案外いけますねこれ。
Nreal Airは動画視聴用だ、PCのディスプレイとして使っても文字なんて見れたもんじゃないと吹聴してましたがNebula for Windowsを使えば距離やサイズをうまく調節することができて思ったよりずっと良い体験ができました。これは進化が楽しみだ。
動作の様子
これはRTX3060 Laptop搭載のノートパソコンで動作させてる様子です。Nreal Airとスマートフォンを同時に動かして動画を撮影するというのはかなり難易度が高くなんのこっちゃ分からん映像になってますが雰囲気だけでも。
映像はチラついてますが、肉眼で見るとそんなことないので参考程度に。
おまけ:同梱ファームウェアのEDID(3Dモード)
ファームウェアが07.1.02.201_20230228から07.1.01.254_20230423に変わり、3DモードのPixel clockが旧来の150MHzの倍300MHzから一般的な148.5MHzの倍297MHzに変更されてました。
これにより手持ちの機材ではMinisforum EliteMini TH50のHDMIからの変換で3Dモードが使用できるようになりました。こういう変化が楽しめるのがベータテストの醍醐味ですね!
細かいところなんですが、Monitor nameがnreal airからAirに変更されています。
おしまいに
例によって結局のところGOOVIS HC2.0でよかったということでふりだしに戻った感があります。垂直同期がズレたように表示されてしまっていたNreal Air発売当初からここまで1年ちょいで色々あったもんだとしみじみ。
Nebula for Windowsに関してはまだバージョン0.1.0という極めて初期バージョンのわりには思ったよりちゃんと動いたなあという印象になります。
いわゆるゲーミングPCでないCPU内蔵のGPUを使ってる一般のユーザーにはハードルの高さを感じざるを得ない現状、ベータテスト中に改善していくのか仮想スクリーンをSBS 3Dに落とし込む処理をする以上しゃあないからNVIDIA GeForce RTX3060ぐらい買ってくれってことになるか今後の推移を見守っていきたいところであります。
そうそう、仮想スクリーンはHDCPの著作権保護が効かないのでChromeで表示したAmazon Prime Videoは真っ黒けになります。現状のコンセプトではこれはもうしょうがない…
2022年3月のNreal Air発売以降、各メーカーから似たようなコンセプトでちょっと価格の高い光学シースルー型HMDが発売されていますが、ソフトウェア的に実感できるレベルの進歩を楽しめる製品は他に無いと思います。
たとえばHT-03Aが発売されたときにホイホイ買ったような未成熟な商品カテゴリーが好きな好事家は今からでも買っておいた方が進歩を楽しめていいと思いますよ!
次の製品が出たらとか暢気なこと言ってないで今!Nreal Air買っとけ!!!
現場からは以上です。