電気メガネ

USB Type-C DP Altに対応した光学シースルー型HMDの『余生』について考える

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USB Type-C DP Altに対応した光学シースルー型HMD(以下『眼鏡』)ですが、一般的にはスマートグラスとかARグラスなどの名称で販売されているアレです。

皆様お手持ちで対応スマートフォンと組み合わせての不思議体験を満喫してることと存じますが、中には対応スマートフォンを持っていないけどただのヘッドマウントディスプレイとして使おうとか、不思議体験が思ってたのと違って「どうするよコレ…」みたいになってる方もいらっしゃるかと。
それを『余生』と定義して目的外の使用の可能性について考えてみようと思います。

前提

今回対象とする『眼鏡』はUSB Type-Cで接続してDP Altモードで映像やデータをやりとりするモノです。バッテリーは内蔵していないので、別途電源供給も必要になります。

『眼鏡』の具体的な例としては

  • EPSON MOVERIO BT-30C
  • EPSON MOVERIO BT-40
  • MADGAZE GLOW Plus
  • Nreal Light
  • Nreal Air(標準規格外でピクセルクロックが150MHzなので表示が崩れる場合がある)

などになります。

USB Type-CでDP Alt出力があるPCなどと接続するとディスプレイだけでなくオーディオ、カメラ、センサーなどとして認識されます。※機種によって異なります。

『余生』の目的

汎用性の高いディスプレイとしての利用を目的にします。
例として上げた機種の中でBT-30CはフルHDではないんですが、それ以外は最低限フルHDで60fpsに対応したディスプレイとしての機能があるので、動画再生などするには十分なスペックです。
※仕様上60fps固定などでBlu-rayで24fpsな映画を見るときには若干の引っかかりなどを感じることもあるかもしれませんがそこは妥協しましょう。

接続について

基本的にはUSB Type-C接続のディスプレイなので、DP Alt出力に対応しているPCやAndroidスマートフォンに接続することで余程のことが無い限り映像が映ります。たぶん音も出ます。
イマドキの世の中のゲーム機やBlu-rayプレイヤーなどの映像機器はたいていHDMI接続はあるんですが、USB Type-Cで映像出力してくれる機器なんてまずありません。
なので、HDMIをUSB Type-C DP Alt出力に変換してくれる機械が必要になります。

今回検証したのは GOOVIS HC2.0 という商品で、GOOVISのヘッドマウントディスプレイで使用するためのオプション品です。メーカーリンク

GOOVIS HC2.0

これ、USB Type-C DP Alt入力にしか対応してない機器を持ってる全員がとりあえず買っといた方がいいと思えるほどの商品です。Nreal Airが出て売り切れる前にみんな買っとけ。AmazonではGOOVISGOOVIS Japanと日本代理店ぽい株)オーバーテックってところが出品してます。在庫の有り無しや値段が違ったりするので様子を見ながら選んでください。

2022/03/09 追記:実機を確認したところNreal Airはピクセルクロックが150MHz(通常は148.5MHz)なので表示がズレたりします。映ると言えば映るけどなんか変なのでご注意ください。今後ファームウェアのアップデートで改善されるといいなあ…でもわざとやってる気もするので無理かなあ…

外形はHDMIの入力と、USB Type-C DP Alt出力、あと給電用のUSB Type-Cがある小さな箱です。
前述の通り、ディスプレイとして動かすには別途電源供給が必要なので給電は必要です。GOOVISのサイトにはHDMIから給電されれば動くとは書いてますがそんな機械あんまりないと思うので給電は必須だと考えた方が良いです。
ちなみに、給電側はUSB Type-C→Standard AのケーブルでPCやACアダプターに繋いでもOKです。
これ重要なんですが、給電側とDP Alt側がデータ的に繋がっていてPCから給電させると『眼鏡』をUSB機器として認識して動作します。繰り返し書きますが重要ですよ!テストに出ます!

さて、ケーブル3本が適切に繋がればHDMIで出力された映像が『眼鏡』に映ります。映らない場合は映像機器側が『眼鏡』の要求する解像度や周波数に対応してないということになって、めんどくさいので基本的には諦めてください。どうしてもということならHDMIのアプコンとか噛ませば動くかもしれませんがそこまでやるかよーって気がするのでやりません。

余談ですがこのGOOVIS HC2.0は大変素直で優秀な変換器でして、実は4K60fpsまで対応してます。Amazon Fire TV Stick 4Kを繋いでUSB Type-C DP Alt入力のある4Kディスプレイに繋げば4Kで動画再生が楽しめます。つまりHDCPを相互に素通りしてくれるのでHDMIキャプチャとかとは違ってちゃんと表示できます。ある意味素晴らしい。
普通4KディスプレイはHDMI入力でそのまま繋ぐからこんなもん使いませんが…

音声の問題

色々接続して試していたら特定の『眼鏡』をPCのHDMIに接続してPCから給電すると『眼鏡』のスピーカーから音が出るんですがモバイルバッテリーから給電すると音が出ない!という問題にぶち当たりました。
結論から言うと、手持ちの中ではMADGAZE GLOW Plus以外の『眼鏡』はDP Altに重畳されている音は使わずにUSBオーディオ機器として音を取得してるということが判明。
PCやAndroidスマートフォンはUSBオーディオに対応してるので給電ポートに接続すれば音は鳴るんですが、Blu-rayプレイヤーとかUSBメモリを接続するポートがあったとしてもUSBオーディオなんか対応してるわけないのでスピーカーから音が鳴りません!
ほら、重要!
特定の『眼鏡』でもうちにあるゲーム機などではNintendo SwitchとPlayStation 4はUSBオーディオに対応しているので3本接続するだけで目的を達成することができました。Blu-rayとか見るならPS4がお手軽ですね!nasneとtorneでテレビも見られる!Xbox One SはUSBオーディオ対応して無かった!

画像
PlayStation 4での設定例。すべての音声にしないとゲーム音などは聞こえません。

で、USBオーディオ対応してない機器で音が出ないのどうするよ…って話になりますが、現実的な解としてはHDMIの時点で音声を分離する機械を使ってヘッドホンなどで音を出すということになると思います。
これなんかボリューム調節ついてるしなかなかいいんじゃないかな?

映像出力機器→HDMI→音声分離機→HDMI→GOOVIS HC2.0→USB Type-C→『眼鏡』
みたいな感じで音声分離機からヘッドホン。『眼鏡』側のスピーカーで鳴らすのは諦めて!
『眼鏡』側のスピーカーで音を鳴らしても音量小さくて聞こえないよーなどの問題も同様の手段で解決できます。

Nreal Airに合わせて発売されるNreal Streaming Boxはおそらく音声問題を解決してくれているはずなので、素直に買いたいところなんですが、Miracastは画質が悪いからあんまり好きじゃないんですよね…
HDMI入力もあるStreaming Box Proとか出してくださいよろしくお願いします。

追記:2022/09/15

Nreal公式でHDMI→USB Type-C変換アダプターが発売されます。これを使えば音声問題も解決できると思われるので、楽しみですね!

いかがでしたか?

長文書きすぎて飽きてきました。
個人的にはカメラとかセンサーとか専用ソフトウエアとか全部取っ払ってディスプレイとして特化した2万円台後半の製品が欲しいところです。

余談

AndroidスマートフォンでUSB Type-C DP Alt出力に対応してる端末、基本的に画面が細長いじゃないですか。それを外部ディスプレイにミラーリング出力したときって16:9の枠の中に全画面納めようとするので上下に黒帯ができるんですよ。その状態でスマートフォンで16:9の動画を再生すると左右に黒帯(画像では分かりやすいように灰色)ができてこんな感じになります。
地デジ移行期に4:3なテレビで16:9の映像が表示された中で4:3の過去映像が流れてるみたいなやつ。伝われ!!
本来の表示領域の中央部にしか表示されないので「思ったより小さく表示されるんだな?」って残念な気持ちになると思うのでご注意ください。

画像

回避策は元々16:9な画面なUSB Type-C DP Alt出力対応端末を使うのが手っ取り早いです。そんなものは知る限りEPSON BO-IC400しか無いのですが…
あとはSamsung DeXとかMotorola Ready Forみたいなディスプレイを接続したら別画面でPCみたいに使えますよ的なスマートフォンを使うのが良いです。こっちなら16:9で出力されるし、スマートフォン側の画面をオフにした状態でも『眼鏡』には出力が続くので電池にもやさしいです。

Android本体側でサブディスプレイを有効活用する仕組を作ってくれればいいんですけど、Pixelシリーズを見る限りGoogleはそんなつもりさらさらなさそうなので期待しない方がいいです。

余談の追記(2022/02/19)

GalaxyのMiracastによる画面共有機能(Smart View)では出力先画面の縦横比に適応させて全画面で表示する機能がありました。
このような機能があればNreal Streaming Boxを使用しても黒帯ができることがないですね。素晴らしい。Prime Videoは再生すると黒画面になりますが(この点VIVE Flowは偉い)

余談の余談

Galaxy Note 10+とかGalaxy S20でNreal Lightを繋いだときにSamsung DeXが起動できなくなってるのどうにかして欲しいです!Nebulaを優先するためにそうしてるんだとは思いますが、Note 10+は対応機種じゃないし、前はできとったやろがい!!他機種とのコード共通化の影響にしても酷いよ!!!

2022/03/09 追記:Nreal Airは現状Samsung DeXが動く!素晴らしい!でもNreal Light同様たぶん潰される…
2022/05/14 追記:Nreal NebulaのKDDI Galaxy専用版の更新が終了してるのでSamsung側でNreal Airを除外する可能性は低くなったんじゃないかな?って気がします。

現場からは以上です。

コメント

  1. […] USB Type-C DP Altに対応した光学シースルー型HMDの『余生』について考える […]

  2. […] ら電源供給とUSBラインとHDMIで接続しています。今回ディスプレイはNreal Airを使ってます。前回の話で、標準的な周波数ではないためGOOVIS HC2.0では正しく表示されないと言う話でしたが、WA […]

  3. […] 現時点(2022/03/29)での情報です。基本的には過去のまとめなのでこれとかこれとかこれを見てください […]

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