Nreal AirなどにUSB Type-C DP Alt出力しながらホスト側を充電できるといいな!!という夢のある機器です。
結論から言うと機器ごとに挙動が違い、思ったように動く組み合わせのデバイスをたまたま持っていないと使えないデバイスです。
これを誰かにお勧めするというのは大変難しい…
j5create JCD401とはなんなのか
「USB4 デュアルディスプレイ 4K マルチハブ」だそうです。USB Type-C DP Alt出力をDisplayPortやHDMIに変換するだけでなくUSB PDで100W入力すれば接続した機器(ホスト側)に最大85W給電もできます。
USB Type-C接続のいわゆる「ドック」というものに近い商品ですね。
メーカーサイトによると「特別なコントローラーにてThunderboltしかできない機能に対応しています。」と書いてますが、Thunderbolt 4端子に接続すると以下の画像を見ての通りThundebolt機器として認識されます。Thundeboltしかできないもなにもそのものじゃん!みたいな。
Thunderbolt 4 HubであるところのClub 3D CSV-1580の先に接続(デイジーチェーン)することも出来ます。CSV-1580はIntel JHL8440を搭載していることが知られているのでj5create JCD401は公開されていませんが似たようなパーツなんじゃないかと思われます。
内部的にThunderbolt 4 HubのポートにUSB Type-CをHDMIやDisplayPortに変換するチップが接続されてそうな気もしますね!
「システム要件・注意事項」について
- Windows、MacOS対応
- M1とM2チップの場合は、Appleシステムの制限により1つのモニター拡張しかできません。
- PCのType-CポートにはDisplayPort Alt ModeとPower Deliveryに対応している必要があります。
- 4K60解像度にはディスプレイが4K60に対応し、ホスト側のType-CポートにもDisplayPort1.4に対応している必要があります。
- デュアルディスプレイを出力には、ホスト側はUSB4またはThunderbolt3/4仕様が必要です。
PC(ホスト側)がUSB Type-C DP AltとUSB PDに対応していることは最低条件として、売り文句にある「3つのうち、2つ同時表示可能」というのはなかなか敷居が高いことが分かります。
「4K60解像度」とは
うちにあるThunderbolt 4(Intel Iris Xe)とLG 32UL750-W(DP 1.4対応)でUSB Type-C接続すると「4K60解像度」です。
j5create JCD401を経由させると4K30ですね。
HDMI接続をすると「4K60解像度」になりますが、色の形式がYCbCr420になっているので帯域はRGBの半分です。
EDIDは直結した場合と同じだったのにフレームレートが半分になっている=使用できる帯域が半分になっているという現象から判断するとDP Altで使っている4レーンのうち2レーンを使っているように見えます。前出の注意事項でDP1.4を要求していたのはそれが理由だと思われます。
DisplayPort 1.4だと2レーンでも4K60pでRGBで出力できるはずなんですが、なんかうまくいってないみたいですね。PCの出力なのか(i5-11320HはDP1.4に対応していてTB4 8K60p対応してることになってる)、LG 32UL750-Wなのか、j5create JCD401なのか、はたまたケーブルの問題なのか…個人の手持ち機材で正しく動く組み合わせを見つけるのは極めて難しい…
なおThunderbolt 4 HubであるところのClub 3D CSV-1580経由でUSB Type-C接続すると直結したときと同じ「4K60解像度」で接続されます。ほらややこしい。
85W給電について
公式サイトに「Power Delivery最大入力100Wで本機必要電力を確保してから、最大85WでノートPCに充電することができます。」とあります。
USB PD測定器を使用して使用を確認してみましょう。
USB PD3.1 140W充電器を接続すると100W入力で最大85W。なるほど。
5V | 3.00A | 15W |
9V | 3.00A | 27W |
15V | 3.00A | 45W |
20V | 4.25A | 85W |
USB PD 45Wモバイルバッテリーを接続すると最大30W。なるほど。
5V | 3.00A | 15W |
9V | 3.00A | 27W |
15V | 2.00A | 30W |
20V | 1.50A | 30W |
motorola edge 30 proに付属されてきた68W充電器では最大53Wでした。つまりインプットから15W引いた分が供給能力ということになるようです。
ちなみに左から2番目のUSB Type-Cは5V 3A出力でした。
USB Power Deliveryに関しては想定している通りに動きそうです。
見た目について
j5createのロゴを表面として裏返して見たところです。ざらざらのアルミでヤスリにも使えそうな質感です。良く言えば梨地?
左から4K DP(DisplayPort出力)、4K HDMI(HDMI出力)、USB 10 Gbps(USB Standard-A)、DP USB4 10 Gbps(USB Type-C)、Power In(USB PD入力)なんですが、アルミに銀色で文字を印刷しているのでめっちゃ見にくい。
ホスト側に接続するケーブルが直付けなんですが、ぷらぷらしちゃうので横にくっつける仕組みが欲しかったですね。
Nreal Airを使いながらスマートフォンの充電ができる!(※)
※ただしGalaxyの一部機種に限る
手持ちの機器で確認したところNreal Airを軸にするとスマートフォンではGalaxy(うちではS20 5GとNote 10 Plus)以外は全滅でした。例えば手持ちでDP Alt出力が出来るスマートフォンmotorola edge 30 pro、ROG Phone 5、MOVERIO BT-40SのBO-IC400、SurfaceDuoのどれもj5create JCD401のUSB Type-C経由で映像出力することが出来ませんでした。
むしろなんでGalaxyは普通にSamsung DeXもミラーリングもNreal NebulaのMRモードも使えるのか不思議なぐらいです。
GalaxyでもS20 5GとNote 10 Plus以外は確認していないので新しいのは駄目とかあるかもしれません。あんまり出力系変わってないので大丈夫そうな気はしますけどSnapdragon系とExynos系ではまた変わってくるかもしれないのでお気をつけください。
ちなみにNreal LightはSurfaceDuo以外どれでも映像出力できてmotorola edge 30 pro、ROG Phone 5ではNebulaのMRモードも動作しました。相変わらずNreal Airは癖が強い。
互換性について
ThinkPad E495に接続してもPDで給電も受けないしHubとしても機能しません。E495のUSB Type-CはUSB PDと「4K60解像度」に対応しているんですがClub 3D CSV-1580も駄目だったんでなんかIntelのThunderbolt 4コントローラーが嫌いみたいです。
Thunderbolt 4搭載PCにj5create JCD401を接続した場合
- Nreal Airは表示されないがUSBオーディオなどは認識される。
- Nreal Lightは表示されてUSB 2.0機器だけでなくUSB 3.x接続のRGBカメラも認識される。
- MOVERIO BT-40は表示される。
- HS133PS(FHDのモバイルディスプレイ)は認識を繰り返して正しく表示されない。
- Lenovo L32p-30は表示されるしUSB Hubも使える。
といった感じで普通に使う分にはNreal Air以外は概ね問題なさそうです。
USB Type-C DP Alt出力対応のスマートフォンにj5create JCD401を接続した場合
- Nreal AirはGalaxy以外表示されない。
- Nreal Lightはだいたい表示される。
- MOVERIO BT-40はだいたい表示される。
- HS133PSはGalaxyとROG Phone5では表示されるけどedge 30 proでは認識されない
こんな感じでもうわけわからんのですよ。直接接続すれば表示できるんですけど。
おまけ。なんとNreal Streaming Boxをホスト側に接続してDisplayPortやHDMIでディスプレイと接続しても動作します。終売してしまいましたが余生はデジタルサイネージ端末としていけませんか?駄目?そう…
おしまいに
個人的にはGalaxy S20 5Gに給電しながらNreal Airが使えるし、Nreal LightのSamsung DeXが使えない呪いを無効化できるのでのはいいですね。
外出中に長時間Galaxyで動画を見たい場合にはGalaxy、Nreal Air、j5create JCD401、PD対応モバイルバッテリーを使用することで比較的コンパクトに長時間動画視聴ができますね。デモで長時間つけっぱなしにしたい場合でも有用です。
USB Type-C接続でHDMIやDisplayPort出力に変換するアダプターはもっと安いので大変な割高感がありますが、USB Type-C DP Alt出力をスルーできるThunderbolt 4 Hubはもっと高いので用途が合えば買ってもいいかなーでも積極的に人に勧められないなーって感じの微妙なデバイスの紹介でした。
現場からは以上です。