
ちょっとした小物作りでいよいよ手詰まり感がありついに3Dプリンターに手を出したわけですが、とりあえずスマートフォンのカメラにXREAL Oneを装着する部品を作ろうと思ったんだけどなんやかんやあってXREAL Beam Proのケース作ってみようとなった記録
はじめに
相当以前から3Dプリンターの存在は存じ上げておりましたが皆様の共有するスパゲッティ製造機の画像を見て「まだその時ではない」と先送りにしておりました。
先日、JINSのメガネをXREAL Oneのインサートレンズとして使う話をしたためた時に収納用の袋を作りまして、これはこれで便利に使っているんですが防御力が弱いのでなんらか硬い入れ物も作れればいいなあ。金属加工や木材加工でどうにかするのも大変なのでお手軽になんかできないものかと…

※これはサムネだけ作って本文書いてないやつ。
そんな折、XREAL OneのインサートレンズとしてXREAL Air / Air 2のインサートレンズを流用するために3Dプリンターのパーツを販売している人もいて興味深く様子をうかがっていたところ、XREAL One用に下からの映り込みを防止するパーツを3Dプリンターで作れる設計図を公開している方がいました。
3Dプリンターの印象として「想定したサイズ通りにはならない」という思い込みがあったので、そんなドンピシャ合うのかよ?と興味が高まりまして色々調べてみた次第。
Bambu Lab A1 Combo
3Dプリンターについて色々調べたところ、熱で溶かした樹脂を細い穴から絞り出して積み重ねて造形するタイプが導入やランニングコストが安価で一般家庭での利用も用意であろうということ、昨今どうやらBambu Labというメーカーが破竹の勢いであるということを知りました。
10万円を大きく超える上位機種はちょっと試すのにお値段が厳しいのでセール時に3万円ちょっとだというA1 miniで良いかと思ったんですが、AMS lite付が良かろうとか費用対効果を色々考えたらA1 Comboになりました。
作れる物体のサイズの大小だけで造形物の精密さや印刷速度などの性能面では基本的にA1もA1 miniも変わらないようです。
キャリブレーションなど諸々自動でやってくれるので手間いらずなようです。これが最初の一台なので「3Dプリンターはこんなもん」という認識なのですが、だいぶ手軽になってるんだろうと思います。
XREAL Beam Pro
当ブログでは言わずと知れたXREAL製電気メガネと組み合わせて使うスマートフォンのような形状をしたAndroid端末です。
2個の同一カメラで3Dカメラとして使えるのも面白いのですが、XREAL Oneがメガネ単体で3DoFやっちゃったんで正直なところ出番は減ってます…
以前1000円程のケースを買ってましたね
AUTODESK Tinkercad
FreeCADなどインストールしてみたんですが3D CADなんも知らんマンなので絶望的に何をしていいのかさっぱり分からなかったので早々に諦めてAUTODESK Tinkercadを使うことにしました。
Webブラウザで使える無料の3Dアプリです。
マウス右クリックしながら3DoF視点移動、中クリックで上下左右、ホイールで拡大縮小です。わりと直感的だと思います。部材を選んだ状態でFキー押すと中心に視点が移動するのは便利。
基本的な使い方は箱(ソリッド)を箱(穴)で削るの繰り返し。

両方選んでグループ化(Ctrl + G)すれば箱が削れる。

円柱みたいな丸い部材はいかにもポリゴン然とカクカクしてます。「側面」を増やせば細かいカクカクになります。

ちゃんと丸い部材が欲しい!という場合は最近追加されたスケッチツールを使うと滑らかな円柱が作れます。ただし平面の押し出しなのでボールは作れません。

現状のスケッチツールは数値入力はできないので、細かい作業はInkscapeなどのベクター編集ツールを使用してSVGでエクスポート、Tinkercadでインポートという流れが便利です。
操作でよく使うのは、「複数の部材をShift押しながらクリックで選択してLキーで整列」と「Wキーで面を指定して選択した部材をDキーで落とす」です。Dキーで落としてCtrl+Gで合体は頻繁に使うコンボです。WとDの組み合わせはCキーで一発でできそうなんですがまだよく分かってません。
ベースの「作業平面」に置いていくのが基本なんですが、斜めにした部材は選んでEキーでその部材に対する平面が表示されるので必要に応じて使い分けが大切です。
なお、部材を複数選択して均等に並べるという機能はたぶんない…よね?ここは不便。
以上を踏まえてケースを作ってみよう

ざっくり考え方は、スマホ本体を「穴」で作って一回り大きな箱をくりぬいたらだいたいケースになります。

あとは厳密に位置合わせしたカメラやUSB Type-C「穴」をくりぬいて完成!

と簡単に書いてますが、Tinkercadで「丸く角を落とす」のはInkscapeで用意した角落とし用の画像を「SVG回転」というシェイプジェネレータにある部材を使うなどこまごまとややこしいことをしてます。

用意するSVG画像のコツは回転した際に角がはみ出ないように5mm余分に耳をつけることです。同じSVGをインポートして外周の面落としに使用することで位置合わせが容易になります。話すと長いんですが、位置合わせが容易になるのはとても重要です。
ちなみに長辺は画面側に「返し」をつけてケースが外れないようにしてますが、全周に返しをつけちゃうとケースから外せなくなっちゃうので2パターン用意して使い分けてます。


同じSVGを組み合わせても繋ぎ目が残っちゃうのが気持ち悪いんですが、3Dプリンターで出力するときには影響しないので気にしないで良いです。

この状態でケースとしては用を足すんですが、重いので軽量化をしましょう。
軽量化のしかた
六角形を並べたハニカム構造で肉抜きをすれば比較的強度と柔軟性が保たれそう。
Inkscapeで六角形を並べた素材を作って~と思ったのですが試行錯誤するのに手間がかかるので、Tinkercadにある「コードブロック」でパラメーターを設定して六角形のサイズや隙間を可変できるようにしましょう。
Tinkercadのコードブロックとは、いわゆるScratchっぽい感じでプログラム的に部材を並べたり移動したりできる機能です。
作成した結果をエクスポートして3Dデザインのシェイプとして登録することもできるので大変便利です。

単純にケースに六角形の穴を開けてしまうとカメラ穴などがおかしくなってしまうので、先ほど完成したケースをCtrl+Dで複製してから穴で2ミリ厚の板にして、SVGとしてエクスポートします。


エクスポートされたSVG画像をInkscapeで編集します。なんにも見えないところからスタートするのでやや不安になります。

ストロークを好きな幅に変更します。カメラ周りの枠のサイズに影響します。

Ctrl+Dで複製してから同じモノを2個にしてから片方をストローク無しで単一色設定にします。

最初に設定したストロークをパスに変換します。これが肝。

全部選んで差分にすると肉抜き対象エリアが完成します。

これをプレーンSVGでエクスポートして…

Tinkercadでインポートするとこんな感じ。

さっきのコードブロックで作ってシェイプに登録しておいたハニカム板を呼び出して

インポートした対象エリアとグループ化して穴にするとこれが「肉抜き用の穴」になります。

両方選んでLキーで整列。

Ctrl+Gでグループ化。これで肉抜きされたケースの完成です。

六角形のサイズを変えたバリエーションも先ほどのコードブロックで簡単に作れます。

肉抜き無しと有り。肉抜きされた方は明らかに軽い!

Maker Worldで公開してます
完成したファイルをBambu LabのMaker Worldで公開してます。

もう一手間加えて微妙にサイズの違う六角形が重なってるので、ケースに六角形のメダルのようなタイルを並べて楽しめるようになってるのでお試しください。

公開するのに手間が多い!
おしまいに
なんか画像多いしめっちゃ長くなったから3記事ぐらいに分割しても良かったですね。
Bambu Lab A1 Comboだいぶ簡単に使えて良いです。MakerWorldで公開されているモデルをそのまま印刷するのも良いんですが、自分でああでもないこうでもない考えて作るのが楽しいですね。3DなんもわからんけどTinkercadでどうにかなってるのでよかった。
いまのところA1 miniでも困らなかったのではなかろうかという気もしますが、大は小を兼ねる!!
AMS liteは多色印刷するかどうかは別としてもあると便利だと感じました。先に本体だけ買ってあとから追加しようとするとだいぶ高くなるので最初からセットのセールを狙った方が良いかなと思います。
現場からは以上です。