前回、Baseus CCGAN100CSを買って色々調べた話をした中で、Quick Charge 5対応スマートフォンを持っていることに気がついた話をしました。
せっかく対応機種を持っていたので実際に充電してみましょうということで、追記していたらなんだかんだで長くなったので別記事にしました。
Quick Charge 5とはなんなのか
Qualcomm® Quick Charge™ technology is the number one method for fast charging.* Quick Charge 5 is world’s Fastest Commercial Charging Solution delivering astonishing charging speeds of up to 0-50% in five minutes while enabling new battery technology, accessories, and safety features.**
Quick Charge 5 | Fast Charging Technology | Qualcomm
5分間で0~50%充電できるって書いてますね!すごい!!
**Quick Charge is designed to increase the battery charge of a device by up to 50% in 5 minutes. Actual results may vary depending on device design.
Quick Charge 5 | Fast Charging Technology | Qualcomm
デバイスの設計によって異なる場合があるんですって!
実測の前に対応機器であるROG Phone 5について調べてみましょう。
ROG Phone 5のバッテリーについて
公式サイトによると、6000mAhのモンスター大容量バッテリーを搭載とのことでした。
AliExpressで売ってる部品の画像を見ると定格3000mAhを2S(2個直列繋ぎ)にして7.74V 3Ahで23.2Whのようです。直列で繋いで容量を足し算するのはどうなのかと思いますが、スマートフォン界隈では3.7V換算で容量を表示するのが通例になってますし、電圧が高い方が充電には有利なのでまあいいか…
ちなみに複数セルが直列繋ぎの場合、どれか1個が劣化するとお手上げになるので注意が必要です。
細かい字をよく読むと最大8.9Vで充電できるようなことが書いてあります。USB PDで充電する場合、18V以上を要求してきたりするんですが、内部で適宜変圧して充電しているということですね。
なお、製品裏のシールにはInput: +5V-20V 3A, 60Wと書いてます。
メーカーのサイトに書いてある65Wは「充電アダプター」の数字であって本体側は60Wなんです!騙されるぜ!!
はて、60Wフルパワーでも1時間に60Whだから5分で5Whなんじゃ?50%は無理では…
小咄:高速充電で電圧が高い理由
ROG Phone 5に搭載されている電池はおよそ9Vで充電しなければいけないのですが、充電器には18V要求します。
60W近い電力で充電するために9Vだと電流が6.6Aが必要で、許容電流の5Aを超えてしまいます。このため充電器に倍の18V要求して半分の3.3Aで受け、その後電圧を下げて(降圧)してバッテリーに流しています。多少変換時に無駄が出ますが、電流をたくさん流すのは充電器の負担も大きく、電線も太くなるのでこんな仕組みになってます。
これが超高速充電だ!
付属品の65W充電器を使うとHyperCharge 65って表示されます。かっこいいですね!
一方Baseus CCGAN100CSで充電するとFast chargingです。特殊演出もなくそこらへんのPD充電器で使っているときと表示が変わらんのでQuick Charge 5なのかはよく分かりませんでした。
実際の充電の様子
使用機器
- Baseus CCGAN100CS
- Asus ROG Phone 5
- AVHzY C3
ケーブルはBaseus CCGAN100CS付属品、充電中のモニターはAVHzY C3でおこないました。
全放電で電源オフからフル充電の様子がこれ。黄色が電圧で水色が電流、紫は電力量です。理論的には23.2Whまで電力量が貯まれば充電終了なんですが、実際は変圧ロスなどあるのでもうちょいかかって記録された総電力量は25Whでした。
ここから細かく見ていきます。グラフに赤のワット数が登場。開始10秒で50Wに到達、しばらくそのままじわじわ伸びて…
開始8分頃、総容量の1/3(8Wh)ほどで電力が57Wから37Wまで落ちます。あれ?5分で50%は?
開始16分で50%(12.5Wh)充電達成後、開始21分頃、ほぼ2/3(16Wh)で突然充電が停止。
その頃のFLIR画像です。触ると熱い。ROG Phone 5は電池パックを2個直列繋ぎにしてるので裏から見たらなんとなくそれっぽく発熱してるような気もします。オモテの中心は充電コントローラーの位置でしょうか?
3分ぐらい休憩して再開。70%(17Wh)ほどに到達した後はおそらく電池内部の電圧が徐々に上昇していくのでコンバーターがそれに呼応するして階段状に消費電流が下がっていきます。デジタル制御って感じがしますね!
開始から34分ほど、おおむね総容量の84%(21Wh)に達したあたりで18Vから9Vに切り替わりました。ここでコンバーターの仕事(電子制御)が終了したようです。表示上はFast chargingのままですが、高速充電と言われる状態はここまでですね。
ROG Phone 5のバッテリーは2S(2個直列繋ぎ)なのでここからは9V弱の通常の充電電圧になります。
黄色の電圧が下がったので水色の電流が突然増えてますが、赤のワット数は変わらないのがよく分かります。
あとは充電器からの電圧と電池内部の電圧の差がじわじわ減って、もうおなかいっぱい!って判断された頃合いでUSB PDが終了して5Vになって充電が終了します。
今回の実験では完全な充電完了は1時間10分ですが、80%の実用充電完了は31分なのでだいぶ無茶しやがってって感じの充電速度です。
もし寝落ちしてお出かけ前にスッカラカンになってても30分でほぼほぼ充電できるので高速充電は便利ですね!
おしまいに
参考までにQuick Charge 5の売りである5分経過時には4.5Whでしたので、総容量の18%ぐらいですかね。50%なんて流石に無理っす。
終始普通のUSB PDって動きだったのでなにがQuick Charge 5なのかさっぱり分かりませんでした。
ROG Phone 5付属品でHyperCharge 65するのと、Quick Charge 5対応100W充電器でFast chargingするの、機器側が60Wなので付属品からわざわざ買い替える必要は無いです!家と出先で2個必要な場合に買い足すのはいいんじゃないですかね!
全体的にQuick Charge 5らしさはないですがメーカーのリストに載ってる対応機器でもそんなもんだって感じでご了承ください。
現場からは以上です。